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さて、9回目となる今回は、ICTやDXの基本中の基本である「デジタル」にフォーカスしようと思います。
デジタルとは?
デジタルを辞書で引いてみると下記の様に書いてあります。
《「ディジタル」とも》連続的な量を、段階的に区切って数字で表すこと。計器の測定値やコンピューターの計算結果を、数字で表示すること。数字表示。⇔アナログ。
『連続的な量を、段階的に区切って』と言われると『?』になってしまいますが、ここでは時計をイメージしてください。
デジタルの反対語となる『アナログ』の時計は、時刻を『針の位置』で表示しますが、『デジタル』の時計は、時刻を『数字』で表示します。つまり、『物事を数字で表す事がデジタル』という訳です。
時刻を数字で表す事に違和感はありませんが、音声はどうでしょうか。
音声は、空気の振動による波が耳の鼓膜を振るわせる事によって認識されています。最近では、骨を振動させる事によって音声を認識できるようにする技術もあるようで、『骨電動イヤホン』なるものも売っているようですが、何れにしても、振動という『波』が音声を構成している事に変わりはありません。
音声は『波』で構成されているため、この『波』を何らかの形で記録しておき、そして再現できれば、音を保存しておくことが可能となります。
まさに、エジソンはこの発想で蓄音機を作りました。
蓄音機で音声を録音する際は、集音器から入ってくる空気の振動を針に伝えて、その内容を回転する筒に凸凹として刻み込みます。つまり、時間毎の波の大きさを凸凹に変換して記録している訳です。
今度は逆に、筒に記録した凸凹に針を当て、録音した時と同じスピードで回転させれば、凸凹が針の振動へと変わり、その針の振動を空気に伝える事で、録音時の音声を再現できるという訳です。
この技術は、レコードでも使われています。
レコード鑑賞と言えば、スピーカーから流れる音を聴くのが主流だったと思いますが・・・、どうしてスピーカーから音を出せるのか、ここまで来ると気になりますよね。
実はここでも『波』が密接に関連していて、レコード針が振動する事で生まれる波を電気の波に変換し、その波を受け取ったスピーカーが、空気を振るわせる振動に変換する事で音を出しているのです。
『レコード針の振動の波⇒電気の波⇒スピーカーの振動の波⇒空気の波』という変換を遂げて、レコードの音が届けられている訳です。
レコードはアナログ技術ですが、デジタル技術のCD(Compact Disc)では、どのように音声を録音・再生しているのでしょうか。
ここで何か物凄い最先端技術が出てきそうですが、残念ながら、デジタル技術でもアナログと変わらず『波』を記録する事で録音しています。ただ、アナログでは波を凸凹で記録していましたが、デジタルでは、『時間毎の波の大きさの数値』で記録するようになりました。
0.01秒後:10
0.02秒後:350
0.03秒後:50
などの様に、時間毎の波の大きさを数値として記録している訳です。これを『デジタルサンプリング』と呼びます。
音声の素となる波を記録する際に、アナログでは針の振動を凸凹として記録していくため、記録する時間の間隔は限りなくゼロに近い、滑らかなものになる事が想像できると思います。丁度、下記のような綺麗な波線を描くようになるイメージです。
対してデジタルでは、〇〇秒後の大きさ、〇〇秒後の大きさ・・・というように、ある特定時点での波の大きさを記録するため、アナログと異なり、下記のような棒グラフで波を描く事になります。
これを見ると、「デジタルよりアナログの方が音が滑らかなのでは?」と思えますよね。確かにそれが、未だレコードが人を魅了して止まない要因の一つなのかも知れませんね。
ただ、波の大きさを記録する時間間隔を短くすればするほど、棒グラフは波線に近づいていきますので、デジタル音声はアナログ音声に劣ると言い切れない事も理解して頂けると思います。
デジタルとコンピューター
デジタルを語る上で欠かせない存在となっているコンピューターですが、なぜ、欠かせないのでしょうか。
パソコンやスマホ、ついには車にまで、至る所で使われているコンピューターですが、どんなイメージをお持ちでしょうか。
『なんかわからないけど、とにかくすごい事をしてそうな機械!?』
のように、得体の知れないものと思っている方も多いでしょう。
しかし、コンピューターは結局の所、『計算機』に過ぎません。ただ、その辺に転がっている電卓と大きく異なる点は、
- 計算のやり方を細かく指示でき、その指示を記憶できること
- 計算の結果を記憶でき、その内容を使って更に計算できること
といった所でしょうか。
計算のやり方を細かく指示したものを『プログラム』と呼び、プログラマーという仕事は、この指示を日々作っている、という事になります。
また、プログラムや計算の結果を記憶する場所を『メモリ』と呼びます。この辺の単語は、パソコンを使っていれば必ず耳にしますよね。
ちなみに、その昔のパソコンでは、足し算と引き算の命令しかありませんでした。割り算をする場合は、引き算を繰り返し実行するようにプログラムし、掛け算を実行する場合は、足し算を繰り返し実行するようにプログラムしていたのは、懐かしい思い出です・・・。
『4÷2』は、4から2を2回引けるから2、
『3×3』は、3に3を3回足すから9、
のように計算させていました。勉強下手だった私にとって、『足し算と引き算だけで、掛け算や割り算ができるなんて!!』と、物凄く頭が良くなった様な気がしたことを強烈に覚えています。
こんな感じで、結構ショボイ計算機のコンピューターなのですが、コンピューターの守備範囲が余りにも幅広いため、突然「単なる計算機だよ」と言われても、きっと『???』な状態だと思います。
恐らく、人類がアナログ思考のまま、デジタルの考え方を発見できていなかったら、コンピューターはこんなに進化しなかった筈です。コンピューターに代わる別の何かが、世の中に浸透していたかも知れません。コンピューターの発展を語る上で、数値で物事を表すというデジタルの考え方は必要不可欠なのです。
ここまで言うと、ピピッと来ている方もいらっしゃるかも知れませんね。
デジタルは、物事を数値で表す考え方です。そしてその数値は、計算できます。アナログは計算できませんが、デジタルは計算できるわけです。
つまり、『デジタルの世界は計算で制御できる』のです。
先ほど話題にした音声を思い出してみましょう。
デジタルで音声を記録する場合、『ある特定時点での波の大きさを記録』していました。この波の大きさは数値なので、コンピューターのメモリに記憶する事ができます。この内容をコンピューターが電気の波に変換し、スピーカーに伝えれば、コンピューターを使って、音声を再生できるという理屈です。
更に、計算によって音声の波(の大きさ)を作り、それをメモリにどんどん蓄積して、その内容を電気の波に変換し、スピーカーに伝えれば、録音もしていない、コンピューターが新たに作り出した音声を再生する事もできます。ボカロ等のコンピューター音声は、極論するとこのような仕組みで造られている訳です。
画像(写真など)も似た様な仕組みです。
デジタルで画像を表す場合は、画像を沢山の点の集まりとして捉えます。その昔、ファミコンで画像を描く場合に、大きな点(ドット)を組み合わせていたドット絵を思い出して下さい。イメージが湧きますよね?
そして、その点の位置が何色をしているのか、という色情報を数値として表します。例えば、0であれば黒、1であれば青、2であれば赤、のような感じです。ちなみに、ファミコンで取り扱える色数は52(しかも様々な制限あり)でした。
現在のコンピューターでは、点(ドットではなくピクセルと呼ぶ)が非常に細かくなり、使える色数も膨大(一般的に1677万色)になりましたが、基本的な考え方は変わっていません。そして、静止画をパラパラアニメのように、連続して表示し続けるのが動画となります。
このような仕組みとなっているので、音声の場合と同じように、計算によって静止画や動画を作成する事ができる訳です。
今や、音声、画像、動画、ありとあらゆるメディアがデジタル化されています。デジタル化されているからこそ、コンピューターで活用できている訳です。このように、コンピューターとデジタルは、切っても切り離せない関係にあると言えるでしょう。
デジタル化できるものは、コンピューターで処理可能です。なので、デジタル化できないものは、コンピューターで扱う事ができません。以前は無理と思われていた「知能」も、今や実用化できるレベルでデジタル化(AI)できています。ですので、今は無理だと思われている感情や知性なども、そのうち、デジタル化できる時代がやってくるかもしれません。
さて次回は、実は誕生以来、ずーーーっと同じ仕組みで動いているコンピューター、その常識を根底から覆す新しいコンピューターの仕組み、「量子コンピューターって何?」にフォーカスを当てていこうと思います。
ここで、結論。
デジタルとは、
コンピューターで物事を制御するために必要なデータ形式である。
如何でしたでしょうか。
デジタルとコンピューターの密接な関係について、少しでも分かった気になって頂けたでしょうか。
これからも、このような形でITネタを発信していきますので、ご愛顧のほど、よろしくお願い致します。